ネパール・タイ旅行記 2010年
2010.1.6〜2010.1.10


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5日目
 異変が起きたのは朝早くのこと。時差の関係で早く目が覚めたのですが、寒気がひどいんです。まあ、寒暖の差が激しい盆地にいるので風邪でもひいたかな?と思っていたのが異変の兆候です。その後、1階に降りて食事をとったのですが、最初はいたって普通でした。が、半分ほど食べたところで、お腹が急にごろごろしだしました。普段まったく飲まないコーヒーを飲んだから?なんて思いながら部屋に戻ると、ごろごろの度合いが急に激しくなりました。で、トイレに入ると、そのまま「急降下」の開始。ただ、お腹の痛みはまったくといっていいほどなかったんです。ただ、急降下。そのまま1時間ほどトイレを出たり入ったりの繰り返しです。実はこの日、前日のうちにヒマラヤ遊覧飛行を済ませていたので本来は完全にフリーな午前中でしたが、ホテルの場所が中心部からかなり離れていることもあり、不便な中を自分で移動するくらいなら・・・と思い、2箇所の観光をオプションとして頼んでいたんです。$60だし、当然通訳も解説もついてきます。

バスタブが真っ白だったのですが、湯を張るとこんな具合に
「温泉色」の水道水。こんな水でうがいをしただけでも、お腹を
壊してしまう!?

 だけど、お腹がこんな有様。トイレ環境が非常に悪いネパールです。道端で用をたしている子供、ちょっとした公園の遊具でしゃがみこんで放尿中の少女。こんな姿も何度も目にしたくらいです。オプションを断ってぎりぎりまでホテルで休んでいようかな?とも思ったけど、1時間超の間ずっとトイレにいたのだから、「もうお腹から完全にリセットされただろう」そう判断して予定通りの時間にチェックアウトしました。そのときはお腹も落ち着いていたし、日本から持参した抗生剤もしっかり飲んで水分も補給しましたしね。 

 ロビーに降りてチェックアウトをしつつ、ガイドさんにお腹のことを話しました。で、観光は早めに切り上げて空港に送ってほしい、そう伝えました。飛行機までの間、万が一様態が悪化したら、そのまま病院に連れて行ってもらえる、そんな考えもあり、一人でベッドにいるよりも、ガイドさんと一緒にいることを選んだのでした。飛行機は13:55発。それまでの間に病院にいって点滴をしてもらう・・・そんなことも考えたけど、そこまではひどくないし。抗生剤も飲んだし・・・が、そのときの私の判断でした。

ボダナート付近の道路。チベットからの移民が多いせいか
東アジア系の人が多かったです。体調は最悪でした。

 ですが、車に乗って30分ほどで着いた最初の観光地、ネパール最大の仏塔のあるボダナートまで歩いていると無性に寒気がします。実際外も寒いのだけど、それ以上に「やばい」感じです。ガイドさんはじっくり見てもいいよ、といってくれたけど、お腹がまたしてもごろごろしだしました。残念ながら公衆トイレの無いところでしたが、ガイドさんと提携している曼荼羅のお店のトイレを利用させてもらいました。もちろん、ネパール式のトイレ。しかも、天井の高さが1メートル50センチほど。ただでもお腹がやばいのに、姿勢まできつくて辛かった〜。

1960年代から亡命チベット人が住みだしたこの界隈。仏塔(ストゥーパ)の周囲には多数の巡礼者、そして土産物屋が!(笑)

 寒気とお腹の不調が悪化しているのを感じ、ガイドさんに次の観光地に移動してもらうようにお願いしました。曼荼羅を買わないか?なんていわれたけど、精神的にそんな余裕がありませんでした。

 で、移動した次の観光地はパシュパティナートという火葬場。ネパール最大のヒンドゥー教の寺院です。日が昇ってきて大分気温も上がったため、寒気のほうも治まりかけていました。抗生剤が効いて、かつ、トイレに何度も行ったので、これでもう大丈夫だろう・・・そう思っていたけど、20分ほどの滞在の後、「少し写真でもとっておいでよ。自由時間にするから!」といわれたときにはもう立っていることができないほどフラフラになってきました。しかも、お腹がまたしてもごろごろしだして、トイレに直行です。症状も人生で一番ひどい下痢。汚い話だけど、水状を通り越して、お尻から水が噴出す感じ。でも、ごろごろこそしているけど、そんなに腹痛を感じないんです。吐き気もありません。ただ、下痢がひどいのとフラフラするんです。トイレに何度も通っているため、相当体力も消費したことと思います。

汚いどぶ川状態ですが、彼らには聖なる川。ガンジスの支流なんです。沐浴する人、サッカーする子供、談笑する老人・・・その横で・・・

ガイドさんと再会した後、私が言った一言は・・・「座らせてください」でした。そのとき、すでに発熱がひどかったと思います。立って歩くことすらままならない感じ。ホテルを出て1時間ですが、この1時間でどんどん症状が悪化しています。「ああ、最初から病院に連れて行ってもらえばよかった」そう思いながらも、後の祭りです。同時に、症状がここまで悪化したこの段階で病院にいったら、「はい、入院ね!」といわれかねないとも思いました。それほどの体調の悪さです。事前に読んだ多くのHPの旅行記には、ネパールでの下痢のことが多数書かれていました。1年前の欧州旅行の際の添乗員さんも、最近の旅行で大変だったことは?との私の問いかけに、ネパールで腹痛がひどかった、そう答えた下さったことを思い出しました。

この時も火葬が行われていました。その傍らでは上の写真の
ように多くの人が笑顔で寛いでいます。

 空港まではわずか10分ほどの距離でした。まだ11時と出発までずいぶん時間がありましたが、とにかく座って休みたい、願わくば横になりたい、その思いでいっぱいでした。運転手さん、ガイドさんぞれぞれに3日間のお礼とチップ(←お礼の言葉より、チップをあげたときのほうが明らかに彼らは喜んでいました・・・笑)を渡し、空港内に入ろうとしたけど、もう駄目。その場で座り込んでしまいました。歩くこともできないんです。だけど、ここからはいつもの一人旅に逆戻りです。こんな異国の地では誰も助けてはくれません。空港入り口で第一のボディー&荷物検査を通過し、タイ国際航空のカウンターに進みます。ゴールドメンバーなので待つこともなく搭乗手続きが完了しましたし、近くにいた係員が、「ラウンジは2階だから、どうぞそちらに」と丁寧に教えてくれました。ゴールドメンバーになってよかったな、そう思った瞬間です。2階のラウンジはすぐに見つかりましたが、小奇麗なバーという趣で、室温も低めでした。係員の男性に、「毛布か何かはないの?」と聞いてみたけど、当然のごとく、そんなものはありません。横になるようなベッドもなく、唯一1つだけあった2人がけのソファーを占領し、そこらへんにあったクッションを全部集めて自分の身体を温めました。もちろん、水分補給の忘れてなりません。ラウンジなので、綺麗で安全な飲み物が飲み放題。弱っているわたしには水を飲むことが精一杯。しかも、グラスいっぱいの水を飲むのに1時間もかかったほどです。

 広いラウンジに、1時間超の時間いましたが、その間に利用したのは10人ほどでした。偶然いらした日本人の初老男性に、「あなたがここを立ち去るとき、私に声をかけてください」とお願いし、しばしの間本格的に休むことにしました。もちろん、熟睡なんかできるわけ無いけど、精神的に大分休むことができました。

この空港ラウンジでの休憩ができなければ、
ネパールの地でぶっ倒れていたと思います。

 しばらくたった後、先ほどの男性が声をかけてくださり、「お大事に」、そういってくださいました。同じ便に乗る方だとわかり、何をしてほしい、ということはないのだけど、非常に心強く感じたのも事実です。念のためにと、飛行機に乗る前にトイレにいったのですが、さっきよりは落ち着いているものの、やはり激しい下痢が続いています。でも、下痢のピークは過ぎたようです。と、いうより、お腹が空っぽになりかけていたのでしょう(笑)

 その後、搭乗口に向かう前にまたしてもセキュリティチェックがありました。しかも長蛇の列です。男性用、女性用と1つずつしかないゲートです。混むのも当然です。ラウンジで休んだため、その場での30分はなんとか乗り切ったのですが、検査終了後、今度は手荷物の念入りなチェックが待ち構えていました。一人ずつ数分かけてて隅々までチェックします。やましいものは一切無いのだけど、はやく座りたい、その思いでいっぱいの私でしたが、そんなことを顔に出したら怪しまれるだけ。ただただ冷静を装うばかりでした(^_^;)

 これで搭乗口についたのかな〜と思ったら、そこはベンチが多数並ぶ広大な部屋。しばらくそこで休んだのですが、「タイ国際$%'&%##"%'()'~||)('%#」というチンプンカンプンな放送が聞こえたので、さらに先の部屋に進むと、そこには別の待合室がありました。狭いその部屋には人がごった返しています。しばらくそこにいたのだけど、人ごみの中にいたせいか、次第に吐き気がひどくなってきました。寒気もまた悪化しています。体温計の持ち合わせがなかったのですが、最低でも38度以上、おそらく39度以上の高熱だったと思われます。

 やっとのことで飛行機への移動が許可されると、なんとそこでも再びセキュリティチェックがありました。ゴールドメンバーだから先に機内にいけるから?なんて思ったけど、そんな放送なんて流れず、早いもの順。すでに元気のない私は相当出遅れたのでした。

 飛行機までは空港の外を自分の足で歩いて1分くらいなのですが、タラップを登る頃には、飛行機からの排気ガスで気分最悪。乗り込んだところにいたタイ人の客室乗務員に、これまでの経過と、現在の体調を正直に伝え、「トイレの近くに座りたい、できれば横になりたい」旨を伝えました。最初は予約通りの席に座ったのですが、離陸前には、「他のお客様の移動がすみましたので」と、トイレ至近の席、それも横3席全てを私のために確保してくださったのでした。感謝感激です。しかも、本来はエコノミー席では利用できない毛布が欲しいといったら、何枚も持ってきてくださいました。

 だけど、体調は悪化するのみ。吐き気との闘いでした。離陸後は何度も「座席前のポケット」に手がいったけど、あの袋で用が足りるほどあまいものではないのは自分が一番よくわかっていました。事実、ベルト着用サインが消えたのと同時にトイレに入りましたが、入るなり嘔吐。何度も何度も嘔吐。嘔吐中も下痢・・・。トイレにいったいどれくらいの時間いたのだろう・・・というくらいの長時間トイレを占領しちゃいました。だけど、これですっかり吐き出したため、ある意味すっきりできたのも事実です。そこからは横3席を独り占めして毛布を何枚もかぶって横になりました。もちろん、機内食などもサービスは全てパス、というより、声すらかけてもらってません。普段は機内でまったく眠れない私ですが(←13時間も搭乗する欧米便であっても、です)、転寝をしたほどでした。相当疲れていたし、体調が悪かったのででしょう。だけど、とりあえずはタイまで戻れる安心感(←タイまで戻れば、日本までの便が日に何便もあるので、万が一入院となっても帰る手段を確保しやすいですしね)、そして客室乗務員たちの親切さに包まれ、無事にバンコクに着陸しました。

※バンコク到着後からは6日目に掲載


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