ネパール・タイ旅行記 2010年
2010.1.6〜2010.1.10


はじめに   1日目   2日目   3日目   4日目   5日目  6日目


6日目
 ただ、全ての乗客が降りるのを待ってからゆっくり飛行機から出ようと思ったけど、ふらふらして歩くことができません。自分の身体なのに、まったく自由が利かないのです。私は考えました。次の便まで6時間もあります。世界有数の大空港です。おそらく空港内に病院があるだろう・・・と。で、客室乗務員に相談してみました。病院があればそこに行きたいと。だけど、歩くこともままならないので、それまで休ませて欲しいと。するとどうでしょう。すぐにあちこち電話してくれ、まずは地上係員の女性が車輪のついた椅子を持って現れました。病院の職員が車椅子を持ってくるまではこれで休んで欲しいと。おかげで飛行機の外まで出ることができました。意識が朦朧としながらも、世話になった客室乗務員たちにお礼を述べた私です。「英語の勉強をしてきてよかったな」、そう思った瞬間でもありました。
 車輪つきの椅子に座りながら、この後、タイ国際航空と全日空のコードシェア便で日本に帰るのだけど、と伝えたのですが、残念ながら別々に手配した航空券のため、簡単には乗り継ぎ処理できないとのことでした。なので、自分でカウンターまでいって欲しい、と言われてしまいました。まあ、仕方ないですし、おそらく急遽私のために呼び出されただけと思しきこの女性に、これ以上の無理なお願いをするのは酷だと思いました。

 10分ほど待ったでしょうか。ようやく病院のスタッフが現れました。車椅子に乗り換え、病院まで連れて行ってもらえました。へぇ〜空港のこんな場所に病院があったんだ、そう思うような場所にあった病院。と、いっても6畳ほどの待合室、6畳ほどの診察室。そして4.5畳ほどの処置室というこじんまりした施設です。すぐに処置室のベッドで横になり、若い男性医師の診察を受けました。ネパールにいたこと、急に激しい下痢と嘔吐に朝から苦しんでいること、そしてもう歩くことすらできないこと、できれば点滴を打って欲しいこと。これらを英語で伝えたのですが、おそらく、この診察がこれまでの人生で一番役に立った英会話だと思います。まさに生きる、死ぬに関わる「生きた英語」です(笑)。

 お医者さんも、次の便まで時間があるから点滴をして休んだほうがいい、そう診断してくださり、そのままベッドで休むこと2時間。途中30分ほどは熟睡しちゃった様子です。起こされたときには、なんでこんな場所にいるの?と思ったほどです。点滴後に再び診察を受けたのですが、今度は若い女性医師に代わっていました。てっきり点滴と吐き気止めの注射の治療で終わりだと思ったのですが、実際には何種類もの薬まで処方されました。

 この病院にいた2時間超の間、一度もトイレに行かなかったのですが、それくらい体調がよくなっていた様子。英語による診断書が3通も用意されていたのだけど、うち一つは航空会社に提出しなさい、というものでした。「もう問題はないだろうと診断するが、万が一体調が悪化しても自分の責任である」と署名をして提出しないさい、という代物でした。ちなみに、病院代は日本円で1万円ちょっと。保険が利かないので高価なのは当然ですが、診断書まで書いてもらってこの金額ですので、日本より相当安いのかな?と思います。しかも、乗り継ぎ手続きのカウンターまでは病院の職員がついてきてくださるという嬉しい配慮まで!

これがタイで処方されたお薬。だけど注意書きはタイ語なのでさっぱりわかりません^^;

 バンコク到着後、何時間も経過してからの乗り継ぎ手続きだったのですが、多少不思議そうな顔こそされましたが、無事にトランジット手続きが完了しました。その後は再びTGのラウンジでゆっくりしました。点滴の効果は絶大とみえ、しっかり歩くことも可能ですし、何か食べたい、そう思えるほどまで回復していました。もっとも、何でも食べられるわけではなく、小さなサンドウィッチを1つ、そして100%のアップルジュース、ミネラルウォーター。こらを時間をかけてゆっくりと食しました。ラウンジにあるものでは、これが一
番の組み合わせでは?と思います←実際はどうなんでしょうね?笑
 
 搭乗時刻が迫ってから搭乗口に移動しました。もちろん、今度はゴールドメンバーの特典で優先搭乗が可能でした。しかも、この便には日本人CAさんが乗務していたので、搭乗後に「ご利用ありがとうございます」と言われた際に、これまでの経緯を説明しました。するとどうでしょう。今回もトレイ近くの横並びの席を確保してくださいました。感謝感謝でお礼のしようもないほどです。深夜便のため元からサービスも少ないのですが、一切何もいらない旨を伝えていたため、実に快適に休むことができました。大分症状が緩和されたとはいえ、下痢が続いていたため、何度かトイレにもいったのですが、そんな私の姿を見かけると、その日本人CAさんは非常に心配してくださり、大丈夫ですか?といわんばかりの表情でそっと飲み水を出してくださいました。病院での点滴、ラウンジでの軽食、そして機内での静養が効いたとみえ、名古屋に到着する頃には、「ちょっと風邪でもひいたかな?」というくらいのレベルにまで回復していました。

 名古屋では自分から健康相談室に出向きました。仕事柄、やばい病気を持ち込んだなんてことになったら大変です。てっきり検便などの検査があるのかな、そう思ったのですが、丸一日の間抗生物質を呑み続けているし、下痢もずっと続いたので、「もう本来の病原菌は出ないですね」とあっけない対応で、逆に拍子抜け、同時に、ほっと一安心。

 国内線の搭乗手続きもゴールドメンバーなので一切待たずに終了したし、その後も短時間だけどラウンジで休憩できました。ラウンジではタイで処方された粉薬を水で溶いて飲んだのですが、使ったのはウイスキー用のマドラーです(笑)
 
 帰りの国内線は眠りにこそつけませんでしたが、ずっと目をつぶり静かにすごしました。一日前のあの苦しさが嘘のように思えるほどの回復です。点滴を中心とした、適切な処置のおかげだと感謝したのと同時に、これまで、ぼったくりタクシーの悪い印象が先行していたタイですが、今回の空港での対応の良さ、タイ国際航空のみなさんの温かい対応で、シンガポールについで2番目に好きな国になりました。


はじめに   1日目   2日目   3日目   4日目   5日目  6日目

TOPページに戻る

   

inserted by FC2 system