3日目
ホテルから15分ほど歩いたでしょうか。ようやくたどり着いた入り口の前の「THINK ABOUT YOU SAW(自分が見たものについて考えてください)」という文字を見て、ただならぬ雰囲気を感じながら中に入りました。他の博物館同様、鞄の中までチェックされ、あとは無料なので展示室に進みます。まずはエレベーターで上階に上がるのですが、そのときに、係員の見取り図とIDカードを取りように言われました。IDカード?と思いながら、男性と書かれた方にあったのを一部をとると・・・なんと、ホロコーストで犠牲になった男性のIDなんです。写真つきで詳細な解説が載っています。まず、それに衝撃を受けた私。エレベーターに乗り込むと、年齢はゆうに80を超えると思われる男性係員が写真撮影は禁止です、などと説明をしてくれました。エレベーターが止まります。ドアが開くと、巨大な写真が待ち構えています。ナチスによる大量虐殺の全てを語るようなその写真。焼かれる死体の山・・・思わず手にしていたパンフレットで顔を覆ってしまった私です。私だけでなく、すべての来訪者が同じ行動をとっています。誰一人口を開こうとはしません。
ホロコースト記念博物館を出たのが11:30。最終日なので、まずはモールの西端にあるリンカーン記念館にむかいます。が、遠いのなんのって。ずっと先にあるのは分かるのですが、歩いても歩いてもたどり着かないという感じです。ホロコースト記念博物館からでも2キロ、ホテルをでて既に4キロほど歩いています。それでもまだたどり着けません。ようやくリンカーン像がはっきりと見えてきたのは12:00過ぎのこと。途中、セグウェイに乗っている観光客を目にしたけど、モール内で自由にセグウェイに乗れたら、どんなに便利なことだろう、そう思わずにいられませんでした。
有名な人民の人民による人民のための政治、という言葉をしっかりと見た後は、来た道を戻りつつ、途中にある博物館のなかでも特に興味のあるところに立ち寄るつもりでした。が、先を急ぎすぎたためか、最初に訪れる予定だったアメリカ歴史博物館を通り越してしまいました(笑)。戻る気にもなれず、2番目の行くつもりだったナショナルギャラリーにむかいます。荷物のチェックの後、横にあるインフォメーションの館内マップをもらおうとすると、係員のおばあさん、80代だと思うのですが、あんた時間があるのかい?じゃあ、お勧めを教えてあげるよ、と細かく地図を見ながら説明してくれます。途中で、おばあさんが次に言おうとしていることが分かり、先に言ってみると、「あんた頭はいいね〜その通りだよ。はい、もう行っても大丈夫」と笑顔で送り出してくれました。この旅に一番長く英語で会話したのがこの時でした。と、言っても1分ほどの長さだけど(笑)
その後はおばあさんのくれたマップと地球の歩き方の解説を見ながらどんどんと進んでいきます。写真撮影が禁止の展示室もあるので気をつけないといけないのですが、DCに来た証拠というわけではないけど、絵画の鑑賞の前にまず有名な絵の写真を撮ってしまう自分がなんだかちっぽけな存在に思えてきます。どうせどんなにシャッター速度や絞りなどを調節したところで、名画集のようにはならないのは百も承知です。写しているのも、自分が思う名画ではなく、世間で名画とされるものばかりですし。
だけど、最近は名画を写すときは、極力、他の観光客の後ろ姿を一緒に写すようにしているんです。絵の大きさがすぐに分かりますからね。そんな証拠写真をとりつつ、絵の10センチくらいまで近づいて細かい描写などを鑑賞していると、あっという間に時間が過ぎてしまいました。さすがに道路だけでも4キロ、博物館の内部を合わせるとさらに1キロは歩いているため、既に疲労気味。そこで、休憩をかねてカフェがお勧めと書かれていたアメリカインディアン博物館に移動しました。モールを挟んだ反対側ではあるものの、入り口までは1キロ近く歩きました。
しかも、国会議事堂周辺は立ち入り禁止になっているし、警察官が多数警備に当たっています。確かに、この博物館は国会議事堂至近だし、正面玄関から国会議事堂が一望できるため、入り口も閉鎖になり、横にある職員用の勝手口からの入館となりました。物々しい警備だけではなく、テレビカメラも多数集まっています。首脳会議はニューヨークで行われるはずなので、じゃあ、ここではいったい何があったのでしょうか?結局、最後までわからずじまいでしたが。
肝心な博物館の印象ですが、ネイティブアメリカンについての博物館がこのワシントンの地、それも国会議事堂至近の場所にあること自体が価値があるように思えます。それなりに時間をかけて展示物を見れまわりました。ビデオ映像も見ました。だけど、展示しているのは彼らの文化と生活に焦点を当てたものばかり。当然とはいえ、コロンブス到着後の歴史などは触れられておりません。これに関する資料や展示品などもあったらさらに価値が上がるのになぁ・・・なんて、勝手に考えた私です。北海道にあるアイヌ文化を紹介する博物館すら、ほとんど行ったことのない私が偉そうなことをいうのは筋違いだと自分でも承知していますが・・・。 1時間くらいいたかな、この場所に。価値は認めるけど、魅力を見出せなかった私です。ここのカフェで食事をとるのが目的で訪れたのだけど、カフェそのものは、メニューがネイティブアメリカンの料理ばかり。それも各地方毎のものが用意されています。興味半分で食べてみようとトレーを持って中に入ったものに、メニューを読んでもそれがいったいどんなものなのか想像すらできないものばかり。英語ではなく、彼らの言語で書かれたものも多く、余計それがなんだか分からなくなっています。迷った挙句、トレーを戻しカフェから出てしまった私です。 時間は3時。まだいっていない他の博物館に行くことも可能な時間ですが、興味の無いところに入ってもあまり満足感を得られないのを痛感したばかりです。で、さっきまでいたナショナルギャラリーと、初日に訪れた航空宇宙博物館にもう一度足を運ぶことにしました。自分の好きな分野だしね。特に航空宇宙博物館では、自分用のお土産品を買ったり(←ミーハーなんで航空にちなんだジャンバーを。実際には恥ずかしく着れないような代物だけど^^;)、IMAXシアターでの臨場感溢れる映像を見たりと、最後にちなんでちょっとした贅沢もしてしまいました。昼食をとったのはその後の4:30のこと。ここにもマックが入っているので、前日同様にビッグマックのセットを注文しました。微妙に昨日よりも料金が高いのですが、本館と別館の違いというより、中心部が郊外かの違いによるものだと思います。マクドナルドでは日本でも最近地域別価格制を取り入れていますしね。ただ、値段が高いのと関係があるとは思えないけど、バーガーの中のレタスの量も数倍入っているんです。刻まれたレタスなので、かえってそれがバーガーを食べたときに崩れる原因になってしまいました。最初の一口で相当量のレタス、ピクルスなどがこぼれ落ち、二口目の時にはバーガーが崩壊しておりました(笑)。
ホテルに戻ったのが5時ちょうどのこと。都市部に数日滞在するだけのため、スーツケースも機内持ち込み用の小さなものだったので荷造りもあっという間に終了です。ゆっくりとバスタブに浸かり、まだ9時だったけどベッドに入ることにしました。2時には目が覚めてしまったけど。 2時からPCであれこれ調べ物をしていたけど、やはり4時頃にまた眠たくなってしまいました。疲れと時差ぼけで体内時計が狂いまくっているようです。日ごろは、どんなに遅く寝ても目覚まし時計の世話になんかならない私なのですが、やはり時差には勝てません。二度寝での寝坊が不安ではありましたが、1時間ほどぐっすりと眠りました。 |